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医学部へいくための志とガリシア地方の学生

スペインのガリシア地方にサンディアゴ・デ・コンポステーラという都市があり、

ここの高校生は「今年読んだ本の中で一番おもしろかった本」を選び、

その作家を学校に招待するなぞの催し物があるそうです。

その作家として招待された日本人が一人いるのですが、

その名は、ご存じな方が多いはず、村上春樹氏です。

いやー、彼はやはりすごいですね。世界でも一躍有名人ですよね。

早くノーベル賞をとってくださいよって思ってしまうわけですが…(笑)

(そう簡単にとれませんよね)


さて、そんな催し物に参加した際に、村上先生はこんなことを聞いたそうな。

「小説の話をすると、学生はきらきらするということは、

みな小説家とか文学を志すのでしょうか?」と。

しかし、このガリシア地方の学生は文学への道を志さないで、

医者やエンジニアになるそうです。

ガリシア地方には産業もなく、豊かな土地とは言えないようで、

人は外に出て仕事をみつけていなければ生きていけないという理由だそうだ。

まあ現実的ですよね。小説家で食っていけるのは本当に一握りの人間ですもんね。

みんな小説家である街も面白そうですが、まあありえませんね。


とまあ言われているのですが、

ものすごく乱暴に言えば、

田舎で出世したければ、またはお金を得たければ、

医者やエンジニアになればいいじゃんってことですかね。

(侮辱していませんよ。ものすごく乱暴に言えばですよ。)

しかし、ガリシア地方の方々は

医者ではないにしても、外に出なければならないのですから…

本当にそれしか生きていく術がないので仕方がないですよね。



この感じをひどくした思考が日本の高校生にあるのかなーって思います。

医学部の志望書に赤を入れているときにいつも思うのが、

「地方医療を救いたい=うちの稼業を継ぎたい」というような書き方でうんざりします。

中にはあからさまにこれを書いている学生もおり、

「うーん」と首をかしげることもしばしばです。

日本はガリシア地方とは異なっていろいろやりたいことができる国なのに、

親御さんはしきりに医者やエンジニアにしたがり、学生はそれに洗脳されて

「医学部にいかなければならない」と思うようになり、

学力がおぼつかないにも関わらず目指そうと思い始めます。

もちろん、中には志が高い親御さんや学生さんもいます。

先日ある教え子が学校の講演会の感想を書いていましたが、

「私は講演会で

一人一人真摯に患者と向き合っている医者の姿を映像みて、そのお話を聞いて

自分がまだまだ人を救う厳しさを知らなかった。

だから、私はもう自分に甘さを見せずにこれから医学部に入るために

弱音を吐かずに勉強しようと思います」というみて、

あーこうやって真剣に医学部、いや医者になることを

志しているんだなって思う学生もいるので、

一概には医者になることが悪いと言っているわけではないです。

しかし、やはり安易に医者を目指しているなーってわかると、

あ、この人は心が豊かではないのかもしれないなって思います。

私は医学部に入るために5浪も6浪もする必要があるのかと思っています。

中にはお金が足りなくて、いろいろな事情があり仕方がないケースもあるかもしれませんが

(実際に一生懸命やっているのに、なかなか事情が合わないケースは見たことがあります。)

安易に「医者=お金持ちになれる」という思考の医学部志望者たちを排除するために、

試験を厳しくするか(例えば帝京大学のように、国語と理科で合格を勝ち取れるのをやめるとか)、

試験を生涯で3回までというように制限をつける

といった措置をとってもいいのかもしれません。

(ハーバード大学は確かそんなことをしていますよね。

そして、国立・私立医学部の中でも3浪以上をとらないとか暗黙にありますよね。)

生きていかなければならない必要性に駆られて医者を志すガリシア地方の学生の志と、

とりあえず医者になろうと思う日本の医学部受験生の志の差は歴然としているでしょう。



なかなか生きづらい世の中になっています。

今日少々早いですが、医学部浪人を決めた学生がいたのでこんな話をしました。

私は医者になるためにはこれだけ真剣にやらなくてはいけないんだということを

50分ぐらい彼に話して、その覚悟をみました。

それでも、私はうーん、本当にやるのかなーって思っていますが、

疑っていても始まらないので、厳しいスタンスで彼の本気を見守ろうと思います。
cancan
Posted bycancan

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