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雑記

「隙間」から見た英語

先日、ある塾の企画で生徒に話したことを、

ちょっと整理してご紹介します。

ご興味がある方は読んでいただけたらと思います。



私たち日本人は「隙間」に意味を与えられる人種です。

私はこの感覚はとてもふつうだと思っていたのですが、

西洋人との会話や文献を通じて、これは特異な感覚なんだということを知りました。

西洋の感覚では「隙間」や「空」というのは不自然だと考え、

そういったものをみると、何か物で埋めようとするようです。

例えば、地理的な観点で言えば、日本は島国でどの国とも隣接していないので、

常に他国の間には隙間があるのですが、

ヨーロッパをはじめとする大陸の人々は、隙間を見ると、

橋を架けたり、埋め立て地を造ったりして、つながりを持とうとします。

料理の例でもこういったことは見受けられます。

例えば、てんぷらとコロッケ。

「揚げる」食べ物ですが、性質は全く違います。

てんぷらはてんぷら粉を砥いで、具材につけて揚げます。

とてもシンプルな食べ物ですが、

てんぷら粉と具材のつながりは、コロッケやカツほどしっかりしていません。

つなぎが緩いために、具材とてんぷら粉の間に隙間ができるのです。

しかし、カツやコロッケはそうはいきません。

コロッケはもともとスペインの食べ物ですが、(工程にdeep friedを入れたのは日本ね。)

それは小麦粉と、卵と、パン粉をつけて揚げるもので、

この具材がすべてつなぎ合わせられて初めてコロッケになります。

コロッケを割ってみれば、具材と揚がった部分がしっかり繋がっているのがわかるでしょう。

このように、

日本と西洋にはこの「隙間」の意味の有無で異なる事実がうかがえるのです。

(詳しくはバルトの「記号の国」を読んでください。日本食の話は載っています。)


さて、じゃあこの感覚をもって英語と日本語はどう違うといえるのか。

もちろん、我々は両者をそれぞれ「隙間」の有無で考えることができますと思います。

日本語はパラグラフだけをよく見ると、

一見今の出版物だけを見ていると、

ロジカルに物事が書かれているように見えますが、

それはあくまでも日本語を西洋で用いたロジックに当てはめて無理やり書いただけで、

本来の日本語は源氏物語のような物語文や、俳句・短歌といった、

論理性がものすごく強い文章とは縁がないものだったといえます。

俳句は本当にいい例です。

「これやこの いくも帰るも別れては 知るも知らぬも 逢坂の関」

これは蝉丸の歌ですが、これをすべてロジカルに説明するのは、

はっきりいって野暮です。昔の日本人はこれを聞いて、

「おー、こやつ、やりおるな、そこの坊さん。」と

思っていたことでしょう。

このように言葉を多用する点では一見不明瞭すぎると非難できそうですが、

そうではなくて、言葉に「隙間」をつくり、その隙間が作り出すテクストを

楽しんでいたのだということがわかります。

一方、英語はそういった含蓄を暗に含める言語ではありません。

とにかく、何かを説明したがる言語です。

パラグラフ1つの中にもロジックが綿密に組み込まれており、

文章全体までも、強固なロジックで隙間なくつなげられています。

このように「隙間」という遊びがないので、

ものごとをはっきり言えるという利点がありますが、

はっきり言いすぎて、どこか柔らかさに欠けてしまいます。

言語の中にも、「隙間」の有無は存在するのです。


さて、この意味をしっかり分かってもらえたうえで(わかってもらえたかは知りませんが)、

英語の学習で心掛けなければならないことがあります。

英語はこのようにロジック性が強い言語なわけで、

日本語のように文法や単語の使い方をあいまいにしてはいけません。

もちろん、日本語もこの例には漏れないのですが、

制約の強度が大きく違います。

例えば、freedom と libertyの意味は大きく異なります。

日本ではどちらも「自由」と意味しますが、

アメリカやイギリスでは完全に別の単語を意味します。

もうご察しの通り、英語は、単語を徹底的に正確に覚えなければなりません。

そして、それと同時に、構文をしっかり覚えなければなりません。

英単語や文法をおろそかにして大学受験は乗り切れません。

英語をお話になるというのは言うまでもありません。

日本人は、英語を母国語としていません。

そして、日本人は生まれつき隙間がたくさんある人種です。

個人的には、「隙間」がある人間でよかったなと思うのですが、

世の中のコミュニケーション手段が英語である以上、

我々は英語を覚えるのであれば、

我々が持つ「隙間」に英単語をはじめとした

様々な英語の知識を埋めていかなければなりません。

頑張っていきましょう!


ってなことを話してました。

共感できるかは別にしても、こういう風に考える人もいるのよねと思ってくれれば、

幸いです。

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